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配布元:Project SIGN[ef]F
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020:合わせ鏡
(笛 潤慶×英士)




僕たちは似ていた。
まるで合わせ鏡のように。
でも一つ違っていたことがあった。

それはヨンサはぼくと違い女の子みたいに真白くて華奢だった。
ぼくの母親も「ヨンサは色が白くてほんと、女の子みたいよね」とよく言っていた。 ヨンサの母親は苦笑しながらも、次々と女物の服を着せ替えられているヨンサを見て半分諦めていた。
ヨンサはというと…ひらひらが沢山ついたお人形のような洋服を何度の何度も着せられて困惑し、 ぼくに助けを求めるかのように視線をこちらに向けたりしていた。

そんなヨンサがとても可愛いかった。


ヨンサが小学校中学年辺りになってから、まったく着なくなった。
母親が頼んでも「いや。」の一点張り。
いつの間にか、ヨンサは強くなっていた。


さすがの母親もここまで「いや」を言われ続け、とうとう諦め初めてきた頃、ぼくは聞いてみた。


「何で着ないのさ、ヨンサ」
「ぼくは男の子なんだよ。あんなひらひらした洋服なんて着たくない…」
「前は着てたのに…母さん悲しんでたよ。」
「別にぼく悪くないもん。そんなに言うなら、潤が着ればいいでしょ。」

まさかこんなことを言われるとは予想もつかなかったので正直言って驚いた。
ぼくが着ても似合うはずが…


「だって、ぼくと潤、顔似てるから…」


ヨンサがそう言った。
ぽつりと…隣の鏡に映っている自分の姿を見ながら。

『ほんと、ヨンサとユンはまるで双子のようね』

いつだろう…そんな言葉に慣れてしまったのは。
でも親族の間ではそんなこと一言も言われなかった。ヨンサは女の子の様に色が透き通っていて繊細。
ぼくはごく一般の普通顔。
まさかヨンサに「顔が似ている」と言われるとはほんとうのほの字に差し掛からないほど言われないと思っていた。


「潤、ぼくは男の子なんだよ」


再度確かめるように聞く。
そして鏡に映る自分の姿と、ぼくの姿を見比べながら。


「…鏡って不思議だよね。潤がいなくなるとすごく寂しくなるけど、
 鏡見ていると潤の姿が一目で思い浮かぶの。だから潤が韓国に戻ってもぼく寂しくないよ」


それはぼくとヨンサはまるで合わせ鏡のようだということ?


「ぼくと潤は従兄弟なんだ。大切な従兄弟。
 そしてぼくは、男の子なんだよ。」


服を強く引っ張られ、ヨンサの隣に並ばされ、目線を鏡の方に向けられた。
そこに写る姿はぼくとヨンサ。
まるで合わせ鏡のように似ているぼくとヨンサ。


「潤が女の子の服着ないのなら、ぼくだって着ないよ」


そういったヨンサの顔は、今まで見てきた女の子の中で一番可愛いかった。




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